なんぽ歯科だより
2019.10.22矯正治療のお話(第5回)80歳で20本の歯を残すには? <歯並びと咬み合わせの重要性について>
日本歯科医師会と厚生労働省が提唱している8020運動はご存知の方も多いと思います。80歳で20本の歯を残しましょう、すなわち一生ご自身の歯で過ごせるようにしましょうというものです。
では、これを達成するために必要なこととは何なのでしょう?
実際に8020を達成した人はどのような咬み合わせなのかを調べた研究では、8020達成者の84%が正しい咬み合わせであり、反対咬合(受け口)や開咬(咬んでも上下の前歯が当たらない)をはじめとして、上下の歯が正しく咬んでいない状態(不正咬合)の方はいませんでした。また、8020達成者の咬む力は、正しい咬み合わせの20代の成人と比べて遜色がなかったという結果も出ています。つまり、歯並びと咬み合わせが良いことは歯の本数だけでなく、咬む機能も維持されることにつながるのです。
さらに、歯並びと咬み合わせが良ければ、お口の中が汚れても唾液の力によって自浄作用が働きやすく、ブラッシングなどのお手入れもしやすくなり、その結果、虫歯や歯周病になりにくくなります。さらに、それぞれの歯にバランスよく咬む力がかかることで、歯や歯茎や顎の骨の寿命を延ばすことにつながります。
歯並びや咬みあわせを良くするには矯正治療が必要です。日本矯正歯科学会では、前歯が生え変わる7歳くらいに歯並びや咬み合わせの相談を受けることを推奨しています。また最近では、成人になってから矯正治療を始める方も多くいらっしゃいます。通常、矯正治療には年齢制限はありませんので、気になった時点で歯科を受診し、相談を受けるようにしましょう。相談をしたから必ず矯正治療を開始しなければいけないというわけではありませんので、お気軽に受診することをお勧めします。